星の人

 

金沢の郊外にあったそのラブホはとっても2人ぼっちという感じで心細い気持ちになったけど、下道で京都から6時間くらい運転し続けた彼はすっかりヘトヘトで、流石に何もせず寝た。

 

美術とか興味がない人だったけど、とりあえず21美とか行ってみたりして。私たちは展示を理解しようともせず、案の定早々に美術館を後にした。金沢から、福井勝山の恐竜博物館に行くのに、海側ではなく山側の道を選ぶと、初夏なのにまだ雪を被ってる白山がすごく綺麗に見えて、2人で久石譲のsummerを流してはしゃいだ。

 

星を見に、春から夏にかけてたくさん山に行った。クワガタが出るようなところ。真っ暗で、鹿がたくさんいて、やったら涼しい山の中。道中の心労はすごいけど、車から降りたらいっつも新鮮に感動した。田舎の実家のきれいな星空の何倍もきれいで鮮明な星空に感じた。

ガチ仕様の望遠鏡で写真を撮るから、そういう寂しい山の中に2人だけで結構長いこといるのだけど何してたんだろう。おしゃべりが止まらない人だった。私にとって彼のおしゃべりは面白くってしょうがなくて付き合う前もたくさんたくさんとりとめのないあれそれを喋った。夜型なんだよね、眠くなるといつも最後の方はあしらってた。

 

何もなくてもタイムズカーシェアで夜たくさんドライブをした。一番くじをしにコンビニをたくさん回ったり遠くのミニストップに行くだけとかマックのドライブスルーするだけとか。駐車場から彼の家まで歩く帰り道は街が寝静まった深夜や夜明け前ばかりだった記憶だ。

彼はいつも不安そうだった。不安にさせていた要因は私であったりもした。